私が思う北イタリア料理
~トラットリア カンパーニャの原点のお話~
25年以上前、スパゲッティとピザしか知らなかった私。
師匠の話と、本でしか知ることの出来なかった私が訪れた憧れのイタリア。それは……。
アルプスの寒く厳しい山岳部の、ジビエ、栗、そば粉の料理。
山からの透き通った雪解け水でできた湖水地方の、川魚、果物(桃、梨、リンゴ)の料理。
湖からは大きな川が広大な平原に流れ、そこでは豊かな水を利用した米作農家の米料理。
酪農家は牛を飼いバター、チーズなどの乳製品や生ハム、サラミ、などの豚肉加工品。
そこを囲むように広がる丘陵では、野菜、きの子、果物などの豊かな食材。
川が流れ着くアドリア海の漁村では豊富な海の幸を使った料理。
それら全ての地をつなぐパスタ料理には、小麦粉はもちろん栗、そば、
トウモロコシの粉で作られる見たこともない地方色豊かなマンマの料理。
その土地ならではの郷土料理として、親から子へ100年以上受け継がれている一皿。
いくら進化して洗練された料理に変わっていっても、そこには必ず郷土愛が隠れているイタリア料理。
私が、迷った時に立ち返るべき原点をこの風景にだぶらせ、
自分の料理を表現し続けるための大事な出発点、それが北イタリアです。
私の大好きなパスタ料理
パスタとは、粉と水分を混ぜ、こねて、伸ばし、
カットした本当にシンプルな食べ物です。
でも、粉の種類、加える水分(水、全卵、卵黄、牛乳、野菜のピューレetc…)。
生地をどれくらいの硬さまでこねるか。
具材、ソースとの相性を考えて伸ばした時の厚さ、
カットの仕方、詰め物の具(肉、魚、チーズ、野菜、etc…)をどうするか。
そして、パスタと言わず「プリモピアット」と言うイタリアでは、
それらの中に、リゾット、ニョッキ、ミネストローネ、などが入ってきます。
シンプルなパスタ料理は、
探求すればするほど自分のセンスと複雑な要素が絡み合い、
一生をかけても極めることができません。だからこそ面白く、美味しいのですー。